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西川善彰 今、珠算一本に復帰した。勤務先が移転して通勤時間が長くなり、男女共学となり勤務態勢もますます忙しくなっていた。その結果、練習も土曜日の特別練習はときどき見るが、普段の練習はほとんど見ることができなくなった。そんな最後の7年を過ごして退職し、初歩からたっぷりと指導できるようになった。不定期には指導していたとはいえカムバックのようなものである。40年前に戻り新鮮な気持ちで子供に向き合っている。 私の教室は、従来初歩以外は時間別編成であり実力別編成である。私の教室を指導して頂いていた先生にはそのつもりで大局を見てアドバイスを送っていたつもりであった。しかし、現実は違い、習いに来てくれている子供の多くは、学習塾の合間に練習にくるという形である。完全に実力別などすると、残念ながら学習塾優先できてくれないのが現実である。ありがたいことに、「親はやめなさいと言うけど私はもう少し頑張りたいからくる。」といってくれている子が多くいる。だから、週3日といっても、毎回3分の1ぐらいの子が休む。そんな子のためにと土曜日を特練日としているがその土曜日に4割近くの子がきてくれている。現実は週2日制に等しい。土曜日しか練習に行くことができないという子もいるほどである。そんな中で、普段に何とか練習に来てくれる時間を見つけたとえそれが決められた時間外であっても又それが2、30分であっても練習に来てくれることを喜ばねばならないようになってきたと思う。そうなってくると、読み上げ算・読み上げ暗算など夢の話である。しかし、何とか時間を融通して読み上げ種目を指導できる体制にしたいのも事実である。 考えてみれば、地方の塾で、小学生が1時間近くもかけて登下校するようなところならば学校帰りに寄る、この場所で夜の遅いのは無理など、その地その地で悩みがある。朝、登校する前に子供たちが練習に来る塾もある。ある塾は、「二日は決めた時間・一日は自由」そんな三日制も聞く。ある塾は、指導をするが、練習は自分でさせるという教室もある。考えようでは、週一日でも家で練習すれば面倒を見ることができる。 帰国してきた4年生の生徒がいうには、アメリカの日本人が経営している塾では、週一日である。先生は三人ほどいて、一教室には12、3人ぐらいだそうで日系人ばかりでなく白人もたくさん習っているとのことである。7級までそろばんを使ったけれども、後は暗算とのことである。1年半で全珠連の暗算4級を合格している。日系の新聞に合格者の名前が掲載されている。今、日本へ戻ってきて保護者は、毎日練習に行かせたいとのことであるが。 100%理想の条件などあり得ない。そんな現実をふまえ、練習体勢を何とか立て直し生徒も私も満足する達成感を味わいたいものである。諸条件をふまえた練習体制である。教室は大きいに越したことはないが、さりとてカンコ鳥が鳴いているようなさびしいムードにならないようにしたい。 指導は、昔の問題集なしの時代から問題集中心の時代そして今プリント中心の時代そしてひょっとするとパソコン中心の時代になるかもわからない。父から競算の日があって五点とった生徒から帰っていくという話を聞いたことがある。つまり、先生の口頭での乗除見取(一題だけノートに写し取ってから全員が一斉に計算する)の問題を計算し、いちばん速くて正答をとれば1点である。これを5点とった人から練習を終えて帰るなど。紙が高価な時代は、新聞の折り込みに入っている宣伝の紙の裏をきれいに切ってノート代わりにして問題集を何度も練習する。現在は問題が無尽蔵に作問されそのプリントを利用できる。暗算初歩指導において、パソコン上のそろばん珠映像を追い、その映像の動きにあわせてディスプレイの上を運指をすることによって初歩の練習をする。 簡単に特徴を書いてみたが過去いろいろの方法がなされてきた。過去の方法が悪いのではなく、たとえば先生の読み上げる問題を聞き取り計算することは、子供たちの能力をつける一方法として見直されなければならないと思う。問題集でも同じである、もう一度同じ問題をするのも大切ではないだろうか。パソコンばかりで指導しても、練習のリズム感や他の人と一緒にする緊張感がなくなってしまうのではないだろうか。又、今練習しているパソコンによる練習をこれ以上する必要がない、逆にもっとやらせたいと思っても練習パターンを決めていて気がつかないでいると弊害になってしまう。 今は、多岐になった。いろいろ飽きさせないで練習する工夫はできる。そんな中から消化不良を起こさないように指導をやって行かねばならない。ただ肝心の生徒が忙しすぎて・・・。 もう一度、親に理解を得ながらなんとか、初歩以外は時間別編成であり実力別編成を考えたいと思っている。せめて自由時間制ではなく練習時間を決めて練習したい。しかし、学習塾等の関係で特別の時間配慮をする必要があるならば、ストップウオッチを貸し、練習できる時間を考えたメニューを渡し練習が終わり確認して一言二言アドバイスやその生徒の関心事について話ができれば良しとしたい。すなわち、練習のメニューを渡す、それだけでも最低一度はコミュニケーションを持つことになる。その子に関心を持ち、「今日はこれに目標を置いてがんばろう」「今日はスピード関係なしで答をしっかりな」などの一言をかけて落ちこぼれを少しでも出さないようにしたい。子供たちができずわからずの状態が続くことのないようにしたいものである。面倒見は良くても、指導は厳しくである。 上達するには、正しい方法でどれだけ練習したかが第一ポイントである。人と競争する・苦手な問題をする・気持ちを集中して手を抜かないなど付随することはいくらでもある。 日本でもピアノなどと同じような指導もこれから考えていかなければならないだろう。すなわち、週一回授業の形である。塾でするだけでなく家でも練習する気になるように心配りをすべきである。未来の教室としてインターネットでやっておられる先生も聞く。
いろいろの思いの中で、練習時間以外に来る生徒に対して私なりに指導の方法について考えてみた。そして練習を一人ですることのできるように、最低20分練習から、50分練習を考えてみた。忙しい合間を縫って中途で来る生徒に対して、練習できる時間を聞く・今日の練習メニューをわたす(あらかじめいくつかのパターンをこしらえておく)・プリントまたは答案用紙を渡す・ストップウオッチが必要であれば渡す・アドバイスをする。 ◎ 20分練習の一例 1.見取算6分・乗除のにがて6分・見取暗算3分 2.みとり算6分・みとり暗算3分・かけ暗算3分・わり暗算3分 3.(検定前)半分問題(乗除10題ずつ・見取5題)併せて15分間 時間内にできればすぐに自己採点をしやりなおす。 4.(検定前)みとり暗算2分答えをあわせやりなおしてから・暗算9分 5.かけ算・わり算・みとり算を4分ずつ練習して自分で答を合わせ悪い種目だけ再度4分する 6.かけ算・わり算・みとり算を4分ずつそして見取暗算3分 7.時間に関係なく練習するところを指定してできたら終了 など 重点的にしかできない。また、ほとんど答など合わせている間がない。又、あわせることができてもやりなおす間がないのが20分練習である。しかし、こどもの状態を知っておれば練習方法もたとえ20分でも与え方がちがうだろう。 私は、かつて保護者に言ってきたことは、「家で練習しなくても大丈夫です。やりたければやってください、無理強いはしません。塾での練習も1時間以内でやっていきます。初歩は30分から40分です。それ以上は検定など特別の時以外やりません。」であった。まだ抵抗があるが、「家庭」で練習することも念頭にいれたい。家で練習するなとは言わないが、一人で練習するのは、塾でするのとは感じが違う又やる気がでないというのが子供たちの声である。家でも練習するムードに持っていくことができたらよい。 ◎ 30分練習の一例 1.みとり算6分・かけ算6分・わり算6分・みとり暗3分・かけ暗2分・わり暗2分 2.みとり算6分・かけ算6分・わり算6分、その後みとり算の残りをする。それでも時間があれば、かけ算またはわり算の残りをする 3.かけ算5分・わり算5分・みとり算5分・自分で採点して合格しなかった種目もう一度5分(こちらから種目を指定しておいても良し) 4.かけ算8分・わり算8分・みとり算8分(時間あれば、残りをする) 5.前回の練習プリントをやりなおして、半分問題(かけわり10題ずつ・みとり算5題)を15分でする。 6.検定練習プリントを、27分(全題できないと種目によれば数分しかしないことになるので注意したい。極端には、一分すらしない) 7.みとり算8分・かけ暗算3分・わり暗算3分・みとり暗算4分・暗算の苦手種目を4分 8.暗算検定練習(12分)を2回(本人のできる時間を考えて制限タイムを考える。) 9.時間に関係なく練習するところを指定してできたら終了 など どちらにしても、このように練習課題を考えていくと、一人一人に少しずつ違った方法が考えられる。練習時間が長くなればなるほどバラエティに富んだことができる。 私の教室では、40分個人練習の課題も用意している。 ただ、最近思うことは、検定や競技の練習それも一斉練習の重要性を感じる。それは、「鉛筆を置いて、両手は膝の上」など身構えて「用意!はじめ」、と全員一斉にすることが減ってきたということである。緊張した中に心を集中する。練習しているときに他のことをしない、考えない。以前、そろばんの先生が、ただストップウオッチマンになるなといわれたことがある。実際その通りと思う。用意はじめだけ言っておけばできるのだから。その形をとれるためには、しかし、全員が一糸乱れず練習する姿勢も必要であろう。けじめのない授業が学校でも増えているという。授業のメリハリをつけ鍛錬することの大切さも考えなければならない。やった計算は間違えないという姿勢もこれは、日頃の先生の姿勢でもある。子供は敏感に感じている。 一斉授業を最良と思っている私にとって、休むなら時間外であろうともきて練習してくれる方が上達させることにつながる。次善の策として、練習する内容を渡して練習する方向に持っていきたいものである。一斉授業がいいといってもやりなおしに関しては別である。一人一人を大切にみていかなければならない。 40年前に週5日制が多かった教室も今は3日制が多い。国内で地域によっては、週2日である。それでも多いというのが今の保護者である。私の教室は、駅前の広場から周りのビルを眺めると五つも六つも学習塾が視野に入る。進学塾の激戦地で、ビルの隣通しで競い合っている。ターミナルということもあるが駅中心に50メートルの円を描けばその中に15ぐらいの塾がある。そんな中にあって教室を開き来てくれるのかと心配した。しかし、その心配は徒労に終わった。受け入れ態勢さえしっかりしたらいくらでも来てくれるというのが感触である。今は週に三日開けていますから二日は来てくださいのスタンスである。週二日ペースでも本人次第で2,3段は合格できる。しかし、新しく生徒に来てもらうためには、週1日制も視野におかねばならないと思う。先輩の先生方から1日で何を教えるのという声が挙がりそうだが。 いよいよ本格的に、平成17年度を迎える。できるかどうかわからないが、暗算中心で30分と珠算中心で30分のカリキュラムこしらえ一斉授業をしたい。たとえば、8級以上から一斉練習するならば、そして4時からスタートするならば、4時から4時20分まで珠算、4時30分から4時50分まで暗算、5時から珠算と30分単位としたい。余った時間はやりなおしである。途中入室は禁止である。だから決められた時間に来ることができない課題練習する生徒も入室は30分単位である。課題が決まれば無駄口なしに頑張り、横で練習している生徒のじゃまにならないようにさせたい。そして、全員が集中している授業を目指したい。全員が同じことをするということは、読み上げもできる。 地方で、一教室に500人とか600人を抱えている話も聞くが、大阪の地で生徒が3桁という話は少数である。ほとんど五十人前後いやそれ以下とも聞こえてくる。しかし、4年ほど前に開塾した先生が160人になりましたとか、大阪市内に3カ所教室がありますが3カ所とも150人前後ですという話も聞く。親のニーズに合い、指導体制がしっかりしているならば、来てくれると確信している。尼崎の珠算特区、小学校あげての珠算への取り組み、小学校へのボランティア活動、テレビでのフラッシュ暗算など今、珠算に追い風が吹きまくっている。私たちのこの雌伏二十年は、この機会のために頑張ってきたのである。積極的に受け入れ態勢をこしらえていきたい。入塾を働きかけていきたい。さらに私たちの町の教育機関が、人間の基礎教育「よみかきそろばん」の一端を担っていることに使命感を持ちたい。そして、私たち亡き後も人間能力に必要なものとして百年二百年先を目指した珠算を目標としたいものである。 |