学校支援活動報告 【学習指導要領改定案公表】

そろばんの複数学年指導が復活 ~3・4年生でそろばん指導~ 副会長 森友 建

(大阪珠算月報681号より転載)

文部科学省は平成20年2月15日、主要教科の授業を1割以上増やすことなどを柱にした小中学校の学習指導要領改定案を公表した。現行の指導要領に掲げる「ゆとり教育」がもたらしたとされる基礎学力の低下を解決することがネライとなっている。


小学校では2011年(平成23年)度から実施されるが、算数・理科は一部先行実施され、2009年度から授業増に踏み切る。算数・理科では15%程度の授業時間増となる。


今回の指導要領改定案で力点を置いた項目が科目ごとに示されているが、算数ではそろばん、社会では世界文化遺産、音楽では唱歌・和楽器、道徳教育では二宮尊徳、保健体育では武道必修などが例示されている。
算数では、示された「主な指導内容」の〈3・4年生〉で次の3つが例示されている。


△整数の四則計算の定着と活用を図る
△小数、分数の足し算、引き算を定着させる
△そろばんを使った足し算、引き算を定着させる

 

今回の改定案は、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」が、昨年8月に出した素案、10月の中間報告を経て1月に出した最終答申に沿って策定された。


文部科学省では今回の公表の後一般の意見を募集し、3月末に告示する。公表で示された改定案では、そろばん指導が複数学年(3・4年生)で指導されること以上の情報はない。指導される総時間数や各学年の配当比率などはこれから順次明らかにされていく。


現行指導要領が標榜した「ゆとり教育」がもたらしたとされる学力の低下現象に対する批判と反省、基礎学力構築の重要性の再確認が基盤にあり、加えて全国連合を軸にした珠算界の地道な珠算教育強化の運動展開が功を奏したといえる。
今後、そろばん指導の全貌が明らかにされてくるのを待ちながら、小学校でのそろばん指導が実効を挙げるために珠算界としては何が出来るのかを模索しなければならない。副読本『たのしいそろばん』の内容の見直し、小学校教師のそろばん指導力確保のための研修、そろばん教師の学校支援珠算指導活動の強化、そろばん指導をテーマにした小学校教師との懇談・共同研究の推進など速やかに手を付けなければならない課題は多い。

 

指導案公表で明らかになったことがらで珠算人に関係の深い事項を付記しておく。


①1977年の改定以来続いていた授業時間と学習内容の減少が転換する
②指導要領は最低基準であると明記し、学校の裁量でレベルの高い内容を教えることも可能になる
③授業時間は、小学校1・2年で週2コマ(1コマ45分)、3〜6年は週1コマ増え、6年間で278コマ多い5645コマとなる
④算数と理科の授業時間はほぼ「ゆとり」以前の水準に戻る
⑤今次改定の最大の目的は学力を再生させること
⑥教育基本法改正後、初めての改定となる指導要領では、新たに教育の理念となった「伝統・文化の尊重」「公共の精神」を各教科・科目で反映させようとしている
⑦ゆとり教育で目指した「考える力」の育成は掲げたまま、その前提となる計算や漢字の書き取りなど基礎学力も重視するという二つの目標を追うことになる
⑧実効をあげるためには教員の定数増や予算措置など条件の整備が必要
⑨「ゆとり教育」から学力向上へと小中学校教育の舵を切ろうとする改定
⑩子供たちの深刻な「学ぶ意欲の低下」への対応は不十分

以 上

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