新コラム "オピニオン"
        
〜 New Column 〜  "OPINION"
 

 
 そろばん指導が目指すべきもの 2009/04/24

 
「尼崎計算教育特区」の効果 2009/03/13
   

  学力向上に役立つ学校支援活動 2009/01/30
 
 
世界が共有する計算文化“そろばん”2008/12/16
 
 そろばん指導で教育再生に貢献 2008/11/04
 
 大阪日日新聞コラム「澪標」執筆決まる 2008/10/21


大阪日日新聞コラム「澪標」掲載記事 2009年04月24日(金)より承認転載

 そろばん指導が目指すべきもの

森友 建  日本珠算連盟理事長
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最近、そろばん指導の教育効果を評価し、教育の中でそろばん指導を強化すべきとする時代の流れが出来上がった。教育界でも、そろばん学習を通じて基礎学力の構築、子供力の向上を図るべきであると考え始めている。

このそろばん教育再評価の流れは、9年間の学校支援珠算指導活動の全国展開を通じて学校サイドのそろばん理解が進んだことや、平成16年度に始まった「尼崎計算教育特区」によるそろばん指導が順調に展開されたことなどが形作った。10年間の各珠算団体や各地エリアのそろばん教育強化の広報活動も世論のそろばん理解を促進した。加えて、約30年間のゆとり教育が子供たちの基礎学力低下につながり、教育再生の盛り上がりを生み出したことや、基礎計算能力低下に対する親の危機感増幅も追い風となった。

減少してきたそろばん学習者数が平成17年度から増加に転じ、その後年率数%ずつの伸び率を示している。今後、このそろばん再評価の流れを確たるものにするために、機械文明の時代になぜそろばんなのかの明快な説明とそろばん指導理念の確立が求められる。それに応えてそろばん指導者は、次の各項目を実現させることで社会的貢献を果たすことを指導理念としなければならない。

◍コンピュータ多用がもたらす現代社会の弊害を、極めて人間的行為であるそろばんのトレーニングで中和し解消することを目指す

◍技術革新(プロセスカット)の対極にあるそろばんの特性を熟知・再評価し、スローライフ実現のテコとして活用する

◍人間の基礎力である計算力、暗算力、集中力、持続力の確保に、そろばん学習が有効な手段であることを認識し、学力向上につなげる

◍金権・拝金至上主義が蔓延するなかで、能力を完全に発揮することで社会貢献できる人間を育てるために、古来の教育文化である珠算を活用する(寺子屋式塾指導の古典的利点に着目し倫理観の回復も目指す)

◍現代社会を生き抜ける人間作りに不可欠な、継続を要するトレーニングとしてそろばん練習を役立てる

今後のそろばん指導者の課題は、文科省のそろばん理解度向上、学校サイドとの連携強化、そろばんの学術的研究推進などである。具体的には、子供力の向上、基礎力の再構築、規律の確立、耐力・持久力・集中力の強化とともに、暗算力を確保させることである。なかでも、今後のそろばん教育強化を決定付けるものは、そろばん学習が子供たちの脳機能活性化に役立ち、教育的効果をもたらすという研究データをエビデンスとして広報しながら、そろばん指導を効果的に行うことであろう。これらの研究データは、日本珠算連盟のリーフレット「凄いぞ!そろばん」と冊子「そろばん有識者懇談会研究報告書」の中で報告されている。日本の教育効果向上に役立てば幸いである。
 

 
 大阪日日新聞コラム「澪標」掲載記事 2009年03月13日(金)より承認転載

 「尼崎計算教育特区」の効果

森友 建  日本珠算連盟理事長
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尼崎市は平成161月に構造改革特別区域計画(名称:尼崎計算教育特区)を国に対して認可申請し、3月末当時の総理小泉純一郎名の内閣府特区認定書を受領し、「尼崎計算教育特区」がスタートを切った。

特区申請の趣意は、「読み、書き、そろばん」と言われる基礎学力向上を図るため、小学校の教育課程に新たに「計算科」を設置し、そろばんによる計算教育を行うことであった。目的はそろばんによる教育を展開し、「計算の基礎的な知識と技能の習得」「日常生活等で計算を活用しようとする態度の育成」等を図る。また、最終的には「暗算を楽しめる児童」「数を見て、判断できる児童」など“日常生活や地域活動、地域社会で「数」を生かせる児童”を目指すことであった。

平成164月から杭瀬小学校でモデル授業が始まった。カリキュラムは2年生が年間10時間、3年生〜6年生はそれぞれ年間50時間、合計210時間のそろばん指導である。これらの時間は、生活科、総合的な学習の時間、算数科から配当された。

2年目以降のそろばん指導導入校は5101521と拡大し、今春からは市内全43校での導入が決まっている。指導者は尼崎市と周辺市域から熟達したそろばん指導者を非常勤講師として採用し学校に配置している。

授業を受けている児童の評価は、「珠算が上手くなった」は9割近く、「計算がはやくなった」も8割に上る。保護者の評価でも、「珠算の取り組みはよいことである」が9割以上であることから概ね好評を得ているといえる。同市で16年度から行っている「学力・生活実態調査」では、珠算を導入している児童と、導入していない児童の成績を経年比較すると、点数が上がっており、それは算数だけでなく他の教科でも見られる。さらに、導入している学校とそれ以外の学校の点数を経年比較すると、珠算を導入している学校のほうに点数における上昇が見られた。これらから、珠算の導入は、当初の目的であった計算力を含めた学力向上に関して、ある程度の効果が出たと考えてよい。

効果の要因としては、そろばん講師と担任が一体となり指導することで、児童の集中力が高まり、学習に対して意欲的になるなど学習態度の向上があげられている。全体的に授業にメリハリがつき規律も出てきた。市教委学校教育課は「授業での集中力も高まり、他の教科の成績も伸びた。成果は予想以上」としている。

4月から先行実施される新学習指導要領では全国の小学校3年生に加えて4年生でもそろばん指導が行われるが、両学年合わせても数時間程度の指導である。基礎学力向上を最優先事項とする日本の教育が成果をあげるには、尼崎市の実験例を評価すべきだし、そこには全国規模で取り入れ参考にすべき教訓も多い。

(もりとも・けん 大阪市港区)


 大阪日日新聞コラム「澪標」掲載記事 2009年01月30日(金)より承認転載
 

 学力向上に役立つ学校支援活動

森友 建  日本珠算連盟理事長
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平成12年度にスタートした大阪府内1038小学校に対する学校支援そろばん指導活動は、今年9年目に入った。全国の主要都市に先駆けて創設された大阪府と大阪市教育委員会学校支援人材バンクシステムに呼応して、大阪府内のそろばん指導支援活動は始まった。

府内の全珠算団体から約120名の指導者が、両教育委員会の人材バンクに登録し、学校からのリクエストに応え出講指導する体制である。初年度は、府内の全小学校長にそろばんのボランティア出講指導を呼びかけた結果、53校から要請を受け活動を成功裏に終えた。その後、支援の依頼校は、6486107111124139156と増え、今年も記録を更新する勢いだ。

毎年1月中旬に出講指導直前の打合せ会を、4月中旬に報告・反省会を開催し、活動に関する情報収集とノウハウの蓄積を行ってきた。

その結果、年毎に指導活動の質的向上が計られ、学校サイドの信頼と満足度も高まり、学校経営者(校長・教頭・担任)のそろばん指導に対する理解と協力が増してきた。プロの指導者による指導で、生徒たちのそろばんに対する興味と関心も大きくなり、計算が筆算以外の方法でも行えることを学ぶことが子供たちにとっては大きな発見となる。

そろばんという古来の計算道具と技術を駆使することで、基礎学力の根本である計算力が高まり、集中力や忍耐力を強化し自主性も向上することが明らかになってきた。学外からのゲストティーチャーの指導で、生徒たちの学習に対する意欲と興味が盛り上がる。また、そろばんという具体的な教具を使うことと珠算人の指導テクニックが、学習に対する興味を高めさせ学習効率を上げていくのだと思われる。

このような効果と成果は、提出される指導報告書から読み取れるし、学校サイドのニューズレターや生徒たちからのサンクスレターでも明らかになる。同時に、この活動の長期展開が教育現場で果たしている意義や重要性も理解できる。 

昨春告示された新学習指導要領で、3年生に加えて4年生でも算数科でそろばんが指導されることになった。理数教育重視の観点から、指導要領の全面実施を待たずに本年4月からの先行実施も決まった。文部科学省がそろばん指導で得られるものが大きいと判断したからだ。

今後、増加が予想される小学校からのそろばん出講依頼については珠算界あげて対応するが、教師自らそろばんを指導する力量を持つことも大事な課題である。大阪府教育行政でも、この学校支援活動の積極的展開と教師のそろばん指導力確保には、珠算界と連携して成果をあげる工夫をし始めた。そろばん指導が基礎学力向上に有効であり、学習意欲を高めさせることからも、そろばん出講指導活動が学力向上を通じて大阪の教育再生に貢献できるかもしれない。

                 (もりとも・けん 大阪市港区)

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大阪日日新聞コラム「澪標」掲載記事 2008年12月16日(火)より承認転載
 

 世界が共有する計算文化“そろばん”

森友 建  日本珠算連盟理事長
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19866月、現代の科学万能の時代に長い歴史を持つそろばんの価値が評価されるか否かを、諸外国の知識人に問う目的でスタートした(社)大阪珠算協会と大阪商工会議所主催の『外国人のための珠算講座』(毎週土曜日に2時間のワンツーワン指導)も丸22年が経過した。この間、80ヶ国から922人の外国人がそろばんを学び、高い水準の技術を身につけてくれた。

講座の展開から、機械・科学中心の現代社会でもそろばんの価値と社会的貢献度は高いと実感できた。コンピュータの発達と普及という側面とそろばんの活用はむしろ共生していくものであることも学んだ。コンピュータの使用からはいろいろの弊害・問題点が生じてくる。反面、そろばんは人間の基本的能力を磨き上げて身に付けていく技術であり、トレーニングそのものと、その過程で得られる忍耐力・集中力などは正に教育の基礎・基本をなすものであって、機械化による弊害を薄め、消去する働きをすることも理解できてきた。

 日本文化“そろばん”を違った文化を持つ外国の人たちに指導することで、真の国際交流・国際親善を実践していることを実感する。同時に珠算指導者の国際感覚も高められている筈だ。

現代のコンピュータ化の中でのそろばん教育の意義を世論に説き理解してもらうことは大事な作業である。これらを珠算人の手で積極的に行うべきことは当然のことである。同時に、今まで多くのマスメディアが本講座を積極的に報道しているが、考察の客観性と社会への浸透度から、そろばんの国際化を進める上で強力な推進力となっている。

本講座で学ぶ外国人の目には、そろばんは日本だけのものではなく、広く世界に通用する計算技術であり、コンピュータ時代においても価値の大きい計算文化と映っているようだ。彼らはそろばん学習で得られるものとして暗算力・集中力・チャレンジをあげている。練習に参加する大学や大学院の研究者は、日常的にコンピュータを使うことからある種の不安と懸念を抱いているが、人間力を使って計算を進めるそろばん技術を自然に近い人間性豊かなテクニックとし、人間としてのバランスを保つ手立てになると考えている。彼らは、機械文明の中で利便性と引き換えになくしつつある大事なものを埋め合わせるのに、そろばん技術の習得が役立つと思っているように感じる。          

今では、欧米やアジアのいくつかの国々では、そろばん指導は教育の基礎・基本の部分を形作る有効な方法だとして、その役割を高く評価し算数科で積極的に指導するところが増えている。

講座を通じて、そろばんが世界性、現代性、普遍性を持つことを知った。そろばんが移入されて500年の間、凝縮された計算テクニックのエキスが教育の根幹を作ったことを思い出し、日本の教育再生を実現するための基礎学力構築にそろばん学習を生かすべきと考えている。

                  (もりとも・けん 大阪府大阪市)
 

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 大阪日日新聞コラム「澪標」掲載記事 2008年11月4日(火)より承認転載

 そろばん指導で教育再生に貢献

森友 建  日本珠算連盟理事長
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 今年三月に新しい学習指導要領に関する文部科学省の告示が出たが、ゆとり教育からの脱却、授業時間数の増加とともに、算数科におけるそろばんの複数学年指導が決まった。

現行の学習指導要領では三年生でそろばん指導を行うことになっているが、わずかに四時間弱の配当である。六月に告示された新学習指導要領の移行措置案では、来年度から三年生に加えて四年生へのそろばん指導を決めた。

 日本では、三十年間にわたりゆとり教育が行われてきたが、子供たちの基礎学力の低下に歯止めがかからず、なかでも基礎計算能力、読解力、表現力の弱さが大きな課題となっていた。文部科学省でも、教育再生が待ったなしの深刻な問題であるとの認識を深めていった。

 一方、世論においては、そろばん教育の効果を評価し、教育の中でそろばんをもっと指導すべきとする流れが出てきた。教育現場においても、そろばん指導が基礎学力の構築、子供力の向上、人間力の確保に効果があるのではと考え始めている。

このようなそろばん指導の評価が高まった背景には、長期にわたるゆとり教育が基礎学力低下をもたらし教育再生の盛り上がりにつながったことと、基礎計算能力の低下が親たちの危機感を増幅させたことがある。

 また、そろばん評価を高めた理由としては、平成十二年度に始めた学校支援そろばん指導活動の展開がある。大阪での事例では、初年度は五十三校からのリクエストに応えてそろばんの指導者が出講指導を行ったが、八年目の今年は依頼校が三倍に膨らんだ。そのほか、五年目の尼崎市「計算特区」でのそろばん指導が順調に推移していることや、十年に及ぶそろばん学習の意義と必要性を説くメディアを活用した広報活動もそろばん見直しに結びついている。

 現在、そろばん指導の目標としては、子供力の向上、基礎学力構築、規律の確立、耐力・持久力・集中力の強化、計算力の獲得、強力な暗算力確保を挙げている。江戸時代からり教育を支えてきたそろばん学習の特性と効用を、いま一度日本の教育立て直しに活用すべきなのかもしれない。

 尼崎市「計算特区」に基づくそろばん指導は、二年生から六年までに二百十時間行われるが、今までのそろばん指導効果の測定では、算数の学力向上はもとより、ほかの教科でも成績が向上し、そろばん指導の効果が立証された形だ。そろばん指導を学校教育に取リ入れたことで、集中力と持久力が向上し勉強全般に興味と意欲が出てきたことが、教科全般にわたる成績向上をもたらしているようである。

 来年度からは市内全四十三小学校でそろばん指導が導入される。実験校が増え、データの信頼性と確実性が向上し、学校教育に大きく貢献することが事実として 公表される日が近いかもしれない。
 

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 大阪日日新聞コラム「澪標」執筆決まる 2008/10/21

森友 建  日本珠算連盟理事長
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■大阪日日新聞は大阪府の地元紙で、安くて・読みやすく・役に立つをモットーに朝刊版として発行されている。記事は共同通信の配信を受けて作成され、大阪に関する情報は独自の取材網を活用して報道されている。発行部数は約8000部と少ないが着実に読者は増加している。大阪近県でも購読され、知識階層の支持が強い特徴を持っている。

■火曜日と金曜日に掲載のコラム「澪標」(みおつくし)は読者参加形でいくつかあるコラムの中でも人気が高い。半年毎に執筆者が変わるが、10月24日から別添記事のようなメンバーに一新された。12名がそれぞれ5回ずつの執筆を担当し、第9期執筆人としての責任を果たす。

■日本や大阪の世相・あり方を批評、提言し、政治や行政への注文、楽しい暮らしや地域づくりへの提言などを読者の視点でつづるというコンセプトである。10月21日の紙面で24日からスタートする第9期のメンバーが紹介されている。

■3月に外国人講座を取材、紙面全紙を使って「大阪のそろばん熱、復活!」という記事を掲載してもらったが、取材に当たった大山報道記者の推薦で、第9期人選で執筆メンバーに森友を加えてもらった。

■第1回目の執筆は、日本の初等教育の中でそろばんがなぜ必要なのか、そろばん指導を行うことで子供たちの基礎学力構築にどのような効果が期待されるのかを、いくつかの事例を挙げて書き、11月4日に掲載された。

■第2回目の記事は12月16日に掲載され、第3回目は1月30日、第4回目は3月13日、第5回目は4月24日の掲載である。
第2回目は、大阪珠算協会が大阪商工会議所と共催で22年間にわたり展開してきた「外国人のための珠算講座」をテーマに、そろばんが外国人からどのように評価され、活用されているかについての論評の形をとった。

■たくさんの読者の方々に、現代社会の教育を再生していく中で、そろばん教育が果たしうる役割は何であるのかを分かりやすく説明し、理解を求めることを眼目にして、5回の執筆の責任を果たしたい。
公的な紙面で貴重な意見の発表機会を与えてもらったことに感謝している。

珠算関連ブログ 「世界に広がるそろばん文化」より承認転載

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